英単語は耳でおぼえよう!【番外編 ②】発音・アクセント問題はこれだけやっておけば(ほぼ)大丈夫!

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前回のエントリーの最後で『見たことがない単語でも発音できる方法を次のエントリーで述べたいと思います』と書いておいて、タイトルが『発音・アクセント問題はこれだけやっておけば(ほぼ)大丈夫!』になっていますが、間違いではありません。

 

過去のエントリーでも述べましたが、英語のつづりは『音を文字化した』(音 → 文字)ものです。とすると、『文字を音化する(文字を見てその音を推測する)』(文字 → 音)というのは逆の(不自然な)プロセスになります。かなりの確度で音を推測できますが、完璧ではありえませんのであらかじめお詫びしておきます。

 

『見たことがない単語でも発音できる方法』のポイントは以下の 4つ です:

① ブロックは母音を中心に語末から分け、子音はできるだけ後のブロックに含める

② 2 ブロックから成る名詞・形容詞のアクセント(強勢)は前のブロックの母音にある

③ 2 ブロックから成る動詞・前置詞のアクセント(強勢)は後のブロックの母音にある

④ 3 ブロック以上から成る単語のアクセント(強勢)は後ろから 3つ目 の母音にある

 

それでは見ていきましょう。『英単語のつづりの基本ルール 1~6』と『英単語のつづりの応用ルール』も使いますので思い出しておいてください。なお、『アクセント(強勢)』は単に『強勢』と表記します。

 

tablet(名詞)

・tab と let に分けられます(ポイント ①)

・2 ブロックの名詞なので強勢は前のブロックの母音にあります(ポイント ②)

・tab の a は [ æ ] と『フォニックス読み』をします(基本ルール 2

・let の e は強勢がないので [ ə ] になります(応用ルール

→ [ tæblət ] と発音します

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silent(形容詞)

・si と lent に分けられます(ポイント ①;子音 l は後のブロックに含めます)

・2 ブロックの形容詞なので強勢は前のブロックの母音にあります(ポイント ②)

・si というブロックは母音で終わっているので i は [ ai ] と『アルファベット読み』をします(基本ルール 5

・lent の e は強勢がないので [ ə ] になります(応用ルール

→ [ sailənt ] と発音します

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progress(名詞)

・prog と ress に分けられます(ポイント ①)

・2 ブロックの名詞なので強勢は前のブロックの母音にあります(ポイント ②)

・prog の o は [ ɑ ] と『フォニックス読み』をします(基本ルール 2

・ress の e は強勢がないので [ ə ] になりそう(応用ルール)ですが例外的に [ e ] のままです

→ [ prɑgres ] と発音します

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progress(動詞)

・prog と ress に分けられます(ポイント ①)

・2 ブロックの動詞なので強勢は後のブロックの母音にあります(ポイント ③)

・ress の e は [ e ] と『フォニックス読み』をします(基本ルール 2

・prog の o は強勢がないので [ ə ] になります(応用ルール

→ [ prəgres ] と発音します

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confine(動詞)

・con と fine に分けられます(ポイント ①)*

・2 ブロックの動詞なので強勢は後のブロックの母音にあります(ポイント ③)

・fine の i は [ ai ] と『アルファベット読み』をします(基本ルール 4

・con の o は強勢がないので [ ə ] になります(応用ルール

→ [ kənfain ] と発音します

* 語末の e はカウントしないので無視してください。

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cabin(名詞)

・ca と bin に分けられそう(ポイント ①)ですが例外的に cab と in と分けます**

・2 ブロックの名詞なので強勢は前のブロックの母音にあります(ポイント ②)

・cab の a は [ æ ] と『フォニックス読み』をします(基本ルール 2

・in の i は強勢がないので [ ə ] になりそう(応用ルール)ですが例外的に [ i ] のままです

→ [ kæbin ] と発音します

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** ある意味、これが『文字を音化する(文字から音を推測する)』ということの限界です。もし cabin が cable [ keibl ] のように [ keibin ] と発音するのであれば、ca と bin に分けられます。もっとも、[ keibin ] と発音したとしても、英語ネイティヴなら「コイツ、発音の仕組みを理解しているな」と評価してくれることでしょう(希望的観測)。

 

Japan(名詞)

・Ja と pan に分けられます(ポイント ①)

・2 ブロックの名詞なので強勢は前のブロックの母音にありそう(ポイント ②)ですが例外的に後のブロックの母音にあります

・pan の a は [ æ ] と『フォニックス読み』をします(基本ルール 2

・Ja の a は強勢がないので [ ə ] になります(応用ルール

→ [ dʒəpæn ] と発音します***

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*** 以前 NHK かどこかの番組で「Japan は『十平安(じゅっぺいあん)』と発音すればいい」と言っていました(『十平庵』だったかもしれません)。ここまで付いてこられたみなさんは、日本人がしている『ジャパン』という発音は Jap と an に ブロックが分けられて、ポイント ② が適用されている、と理解していただけるでしょう。発音記号で表すならば [ dʒæpən ] でしょうか。日本人が自分の国名をきちんと英語で言えていないというのはおもしろいです。なお、Japanese を『ジャパニーズ』とするのは問題ないんです。時間がある方はぜひ考えてみてください。

 

different(形容詞)

・dif と fe と rent に分けられそうです(ポイント ①)が例外的に dif と fer と ent と分けます

・3 ブロックから成る単語なので強勢は後ろから 3つ目 の母音である dif の i にあります(ポイント ④)

・dif の i は [ i ] と『フォニックス読み』をします(基本ルール 2

・fer の e と ent の e は強勢がないので [ ə ] になります(応用ルール

→ [ difərənt ] と発音します

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いかがでしたでしょうか。見たことのない単語を読もうとしたら、結果的に発音・アクセント問題が大丈夫な感じ(?)になったかと思います。

特に ポイント ④ を知っているだけでアクセント問題が相当ラクになるでしょう。

だって、極端に言えば長い単語のアクセント(強勢)の位置が 後ろ(語末)から母音を 3つ 数えるだけ でわかるんですよ。

economy が economy になる(y は母音扱いです)のに対し、economical は economical になることの説明もつきますよ。

ただ、calculate のように語末の e はカウントしないので注意してください。

また、beautiful のように母音が 1文字 でない場合などは空気を読んでください。

ノリと勢い(?)が大事です。

 

もちろん、例外は多いです( "ic" で終わる単語は後ろから 2つ目の母音に強勢 etc.) 。しかし、前にも書きましたが「だいたいうまくいくなら、例外は例外としておぼえておけばよくね?」というのが自分の基本スタンスです。英語音声学の専門家の方にものすごく叱責されそうな気がしますけど。なお、辞書によっては例外のものには『発音注意』と記載されているのでチェックしてみてください。

 

不規則動詞のときのように、例外にも規則がある場合があるといえばあります。ひとつだけ挙げるとすると、『 a, i, o, u で終わる単語( = 英語にとっての外来語の可能性が高い単語)の場合には 後ろ(語末)から 2つ目の母音に強勢がある』でしょうか。

日本語由来の tsunami は tsunami に、ヒンディー語由来の pajama は pajama になります。

どちらの a[ ɑ: ] と発音する(『大陸系発音』と呼ばれています;『ヨーロッパ大陸』の言語であるフランス語もドイツ語も a は [ ɑ: ] と発音しますよね )のが特徴です。

日本人の名前である Tanaka を Tanaka としたり、地名である Shinjuku を Shinjuku としたりするのも同じですね。

 

英語ネイティヴは a, i, o, u で終わる単語を見たら「英語ではない」と判断して(おそらく無意識に)強勢の位置を変えているんだと思います。America の 語源とされる Amerigo は「英語ではない」と判断してAmerigo とし、America は英語なので America とするんだと思います。なお、e で終わっても日本語由来の karate は karate になりますし、スペイン語系の名前である Felipe も Felipe になります。

 

ただ、「これでセンター試験の発音・アクセント問題は楽勝だ!」とは思わないでください。センター試験の発音・アクセント問題はまさに『例外パラダイス』です。問題作成者が「原則通りでいくとそうなるけど例外は違うよね!」とほくそ笑んでいる姿が思い浮かびます。自分は「そうきたか! でもひっかからないよ!」とか「あれ? ルール通りでいいの?」とか思いながら解いています(受験生の大半はそんなことを思いながら解いていないでしょうが)。

2019年度にセンター試験を受験する高校生は『英単語のつづりの基本ルール 1~6』『英単語のつづりの応用ルール』『見たことがない単語でも発音できる方法のポイント ①~④』の 3つ をしっかり理解して例外をおぼえていく、というのがいいと思います。

2020年度以降に実施される『大学入学共通テスト』には(試行調査を見る限りでは)発音・アクセント問題は出題されない、と聞いたらほっとする中高生もいるかもしれません。しかし、『4技能試験』の『スピーキング』が代わりになるのでしっかり理解しておいてください。

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