【TIPS】 電子辞書 vs. 紙の辞書 英語学習にいいのはどっち?

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『英語 辞書 電子辞書 どっち』で Google 検索してみると、約 2,850,000 件 ヒットします(2019年6月4日現在):

まさに議論百出、すでに語り尽くされている感はありますが、生徒が実際に辞書を使っているのを見て自分が思ったことに触れているものがほとんどなかったので自分も書いてみます。

今回はテーマを『(授業中にスマホを使用できない)中高生の英語学習』に絞ります。また、『電子辞書』は CASIO EX-word に代表される電子機器を指し、『辞書アプリ』『オンライン辞書』とは区別します。

結論

中高生の英語学習にいいのは【紙の辞書】

理由

① スピードが速い

「スピードが速いのは電子辞書の方だろう」と思ったことでしょう。しかし、紙の辞書の方が(結果的に)速いです。たとえば "take" を引くと(辞書によっては)30個近い 意味が載っていますが、紙の辞書なら 30個目 の意味まですぐたどりつけます。

電子辞書はそうはいきません。スクロールが遅いからです。このためか、電子辞書を使っている生徒のほとんどが『最初の一画面(ページ)』(最初の一画面に表示される 3つ くらいの意味)しか見ません。これを読んでいる保護者の方は「そんなバカな」と思うかもしれませんが、中高生は「そうだよね」と思ったハズです。実際にやってみればわかるのですが、"take" の 30個目 の意味までたどりつくのにかなりの時間を要し、途中で確実にイラつきます。

電子辞書は『1個目の意味(1個しか意味がない単語)』を引くだけなら紙の辞書より圧倒的に速いですが、(中高生の)英語学習において『1個目の意味』で解決することはまれです。

なお、中高生が紙の辞書を引くのが遅いのは、単に『アルファベットが遅い』だけじゃないかと思っています。歌に合わせて出だしからアルファベットを思い出しているようでは遅いに決まっています。どうしても歌いたい場合は A~G / H~N / O~U / V~Z (A~G / H~P / Q~V / W~Z)という単位(2小節ずつ)でおぼえて歌うようにすれば時間短縮になります。どこからでもアルファベットを言えるようになったり、アルファベットを逆に言えるようになったりするには慣れが必要です。

② 視野が広い

紙の辞書は一目で多くの情報を見る(見比べる)ことができます。電子辞書もスクロールではなく画面ごとに表示させれば(ページ送りにすれば)多くの情報を見ることはできますが、それでも 1個目の意味 と 30個目 の意味をすぐに見比べることはできません(そもそもページ送りにすること自体を面倒くさがる中高生は多いです)。さらに、電子辞書は意味から意味までを行ったり来たりすることもしにくいです。紙の辞書なら視線を動かすだけで済みます。

また、よく言われていることですが、引いた単語の周辺の単語も視界に入ってきますので、新たな発見につながったりします。 周辺の単語だけでなく、引いた単語の様々な熟語なども同時にチェックすることができます。

『視野が広い』とはちょっと違うかもしれませんが、紙の辞書は偶然の出会いがあるのがいいです。適当に開けるからです。電子辞書はピンポイントで引きたい単語があるという目的がある場合には使えますが、ない場合には使えません。効率ということからするといいかもしれませんが、ちょっと無駄があってもいいと思います。Amazon で読みたい本を検索して購入するのではなく、書店をぶらついてたまたま目にした本を手にとって購入するのに似ています。

③ 例文を同時に見ることができる

紙の辞書を勧める(電子辞書を勧めない)いちばんの理由がこれかもしれません。できるだけスクロールするのを避けるためか、多くの電子辞書の中は例文を別表示としています(すべての電子辞書を確認したわけではありません)。またいつか述べますが、英語学習において単語は例文があってこそ生きてきます。『用例』ボタンを押せばいいだけなのですが、それの行為を「面倒くさい」と考える中高生は多いです。

④ 電子辞書のメリット?

『様々な種類のの辞書が入っているからいい』と言われますが、ほとんど使わないですよね? ジャ○ネットた○た などで「136冊も入っていてこのお値段!」と言われるとお得感はありますが、紙の英和辞典なら1冊 3,000~4,000円 出せばいいのに、使わないものに 20,000~40,000円 出すのはお得ではないでしょう。

『様々な機能(ジャンプ機能など)があるからいい』とも言われますが、意外と使いこなせていない(電子機器に弱い)、そもそもキーボード配列に慣れていなくて入力すら遅いという中高生は多いです(自分調べ)。

『検索(特に『串刺し検索』)が便利だからいい』と言われます。『串刺し検索』とは一つの検索ワードを様々な辞書で調べられる、というものです。確かに英和辞典で調べて英英辞典で調べられるのは便利ですが、普通の中高生には英和辞典だけで十分です(英英辞典についてはまたいつか述べます)。また、個人的な感想ですが、電子辞書の検索機能は Google 検索などに比べて融通がきかない感じ(頭が固い感じ?)がします。特に熟語(成句)の検索にそれを感じます。

『発音が聞けるからいい』と言われます。発音重視の自分としてはこれには正直なところ反論したくないのですが、過去のエントリーで扱った発音記号を理解して、個々の発音ができるようになっているのであればカバーできます。

『紙の辞書に比べて軽いからいい』と言われます。これには反論できないのですが、おじいちゃん・おばあちゃんならまだしも(失礼!)、中高生なら重さくらい我慢してください…。

一口に『電子辞書』と言っても様々な種類があり、上記のコメントがあたらない場合もあるかと思います。その点はご了承いただければと思います。

『紙の辞書の選び方』や『辞書アプリ』『オンライン辞書』につてはまたエントリーを改めて述べることにします。

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