【大学入試】 大学入学共通テストのリスニング問題の配点はセンター試験の2倍! でも問題はそこじゃない!
数日前にセンター試験の後継『大学入学共通テスト』のリスニング問題が話題になりました:
リンク先の記事を含め『リスニング問題の配点が2倍』(厳密に言うと、センター試験の『リーディング 200点:リスニング 50点』が『リーディング 100点:リスニング 100点』になるのでリスニングの比重が高くなります)という部分が強調されていますが、これまでのセンター試験のリスニング問題の配点が2倍になるだけならそれほど問題ではないと思います。
リンク先の記事でもチラッと触れられていますが、問題はこれまでのセンター試験とは異なり『問題文が1回しか読み上げられない』ものが含まれる部分です。
「問題文が1回しか読み上げられないのは英検準2級と変わりないじゃないか」と思われるかもしれませんが、英検準2級とは異なります(英検準2級に合格している生徒でも苦戦すると思われます)。
ざっくり言うと『英検3級が難しくなって1回しか読み上げられない問題』という感じです。
ちょっと整理しましょう。
過去のエントリーでも述べましたが、英検3級までは『ズンチャ』の『ズン』だけが問われます。1回目の読み上げのときに質問文をきちんと聞けさえすれば、2回目にその部分だけを聞くことができれば正解できます。これまでのセンター試験もこの形式に近いです(英検の質問文は記載されていませんがセンター試験は記載されています)。
これに対し、英検準2級(特に第3部)は『ズン』のところは問われません。問われるのは『対話(問答)』の流れです。
2018年度第3回 英検3級 リスニング問題 第3部(No.22)を例にとってみましょう:
I often go to Toronto on business. Last week, I had a meeting in Seattle for the first time. When I got back to my office in Tokyo, I wrote a report about the trip.
Question: Where did the woman have a meeting last week?
1回目に読み上げられたときに質問の "where" と "meeting" が聞き取れたのであれば "Seattle" と答えるのはそう難しくはありません。しかし、大学入学共通テストの『問題文が1回しか読み上げられない』リスニング問題は1回目で『よくトロントに出張に行く』『先週シアトルで会議があった』『オフィスは東京にある』という情報すべてを拾わなければいけません(しかもその情報の比較検討まで要求されます)。
これまでのセンター試験や英検3級のリスニングの感覚でいると確実に聞き逃します。また、英検準2級(特に第3部)の感覚でいると情報を拾い損ねます。
「大学入学共通テストのリスニング問題は図表をどうにかする形式がほとんどだし、メモを取りながら聞けばいいので難しくない」と反論があるかもしれませんが、多くの受験生にとっては難しいです。過去のエントリーでも述べた通り、彼らは『聞きながら別の作業をする(図表を見る・メモを取るなど)こと』を苦手とするからです。
大学入学共通テストの『問題文が1回しか読み上げられない』リスニング問題ができるようになるためには、聞きながら別の作業をできるようになる必要があります。特に『聞くことを邪魔しないメモを取るスキル』(Notetaking Skills)をアップさせる必要があります。自分だけがわかる記号や省略の仕方などを編み出してみてください。
いちばん気軽にできる練習は メモを取りながら英検3級の第3部を1回聞いただけで答える でしょうか。表を埋めていくのは IELTS のリスニング問題が形式的に近いので練習になるのですが、いかんせん普通の受験生には難しいのでおすすめしません。グラフ(図表)を選んだりするのは TEAP でも出題されるのでいいかもしれません。現在市販されている同様の問題形式のリスニング問題集(すみません。寡聞にして知りません)や今後販売されるであろう大学入学共通テストの予想問題集が適当かと思います。
大学入学共通テストのリスニング問題は『1回しか読み上げられない』こと以外にも『イギリス英語・ノンネイティヴ英語(おそらく日本人)で読み上げられる』ことなど注目すべき点がまだありますが、また別の機会に述べたいと思います。