英語は『音に乗っている情報の流れ』をつかめ!① スラッシュリスニング → スラッシュリーディング Part 1

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前回までのエントリーで『発音ができるようになればリーディングができるようになる?』の 第 1 段階『発音/アクセント(強勢)ができるようになればリズムよく読むことができる』が終了しました。続いて 第 2 段階『リズムよく読むことができるようになれば情報の流れをつかむことができる』に入ります。

 

ここで 2018年度第3回 英検4級 リスニング問題 第3部(No.21)に再々登場してもらいます:

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5×3 DOT PROSODY SHEET の 縦 は『強弱』を表しますが、上記のサンプルではもっとも強いのが ③ に固定されています。これはまず『基本ルール』を理解していただきたいためにこうしていました。

このサンプルの中でいくつか「あれ?」と感じたところがあったと思います。それは「もう少し強いんじゃね?」というものではなかったでしょうか。

英語には ズンチャ ズンが他の ズンより強くなる場合がいくつかありますが、ここでは『重要な情報を含む単語の ズンは他の単語の ズンより強くする』という場合についてみてみましょう。

"Her brother ...." の文の "shirt" と "book"、"Becky's parents ...." の文の "money" と "camera" がこれにあたるかと思います。

英語には "Thought Group" という概念があります。日本語では『文の意味のかたまり』とか『思いのまとまり』とか訳されていますが、自分としては『言いたいことのまとまり』と訳した方がしっくりくるのではないかと思っています。 "Thought Group" は『文』(大文字ではじまって、ピリオド〔 . 〕クエスチョンマーク〔? 〕エクスクラメーションマーク〔 ! 〕で終わるもの)とほぼ同じものを指すと考えていただいて大丈夫ですが、『文』には限られませんので注意が必要です。

英語では『重要な情報』はこの "Thought Group" の最後に置かれます。そしてこの『重要な情報』を含む単語の ズンは他の単語の ズンより強くします。サンプルでいえば、話し手は "shirt" "book" "money" "camera" が『重要な情報(聞き手がまだ知らなかった情報 =『新情報』)』であると考え、それぞれ "Her brother gave her a shirt"、"her friends gave her a book"、"Becky's parents gave her some money"、"to buy a camera" という表現を使っています。これを 5×3 DOT PROSODY SHEET に反映させるとこうなります:

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強くするだけでなく、長くもするので 縦 ⑤ の 横 3ドット になります(「縦 ⑤ は強すぎるよ!」という方は 縦 ④ でもいいです。好きなようにしてください;ただ、強く読むことに慣れていない日本人にとっては大げさであっても 縦 ⑤ の方がいいんじゃないかと自分は思っています)。変更を加えたものをご覧になりながらもう一度音声を聞いてみてください。最初のバージョンより違和感は少なくなったと思います(まだ違和感があるのはわかっていますが、もうしばらくお待ちください)。

この話をすると、大抵の生徒が「そんなこと(重要な情報は "Thought Group" の最後に置くこと)を考えながらしゃべらなきゃいけないなんて、英語ネイティヴは大変ですね」と言いますが、実は日本語ネイティヴも同じようなことをやっています。次の A と B の文の話し手はそれぞれ何が重要だと思ってしゃべっていると思いますか?(答えは次回のエントリーで!) 

A. 私は昨日メアリーと京都へ行きました。

B. 私は昨日京都へメアリーと行きました。

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